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永遠のスタンダードへの希求 [ベートーヴェン:交響曲]

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ベートーヴェンのシンフォニー好きならば、一度は「何度聴いても飽きがこなくて、全9曲がムラなく優れた録音の良いセット」を探したことがあるのでは?

私もこれまで何十組のセットを聴いたかわからないけれど、解釈、演奏、録音の三拍子そろったお気に入りは数が少ない。どれか一曲でも気に入らない場合には、全集としての統一した美しさはそこで終わりとなる。

今までで自分が(全集として)良いと感じたものを厳選すると、

クリュイタンス/BPO
ブロムシュテット/SD
ワルター/Columbia
イッセルシュテット/VPO
ヨッフム/ACO
ベーム/VPO
カラヤン/BPO
ヴァント/NDR

なんだ、フルトヴェングラーもトスカニーニも入っていない、シューリヒトもいないじゃないか、と思われるかもしれませんが、どちらもモノラル。演奏がどんなに良かろうが、もう失格。

この中からさらに絞り込む。減点方式でいくと、クリュイタンスは曲により録音の限界を感じさせるので、さようなら。8番は音に芯がないし、9番はとくに終楽章で録音に問題あり。SACDの音質も、最終的な作業は杉本一家氏の手によるものだが、どうもエソテリック・サウンドでのっぺりしていないかな、など。

ブロムシュテットは、輸入盤とキングのハイパーリマスタリング盤があるが、前者は残響を付加させ、後者はそれがなく音が乾燥している。どちらも悪くはないが、演奏本位ならやや食い足りない。

ワルターはもちろんステレオだが、第9だけがどうしても気に入らない。他は素晴らしいのだが、、、。ごめん、ワルター。

第9がダメと言えば、ヴァントもダメだ。とくにソリストがひどすぎる。完璧主義者のヴァントらしからぬ、詰めの甘さ。そもそも第9が嫌いなようだ。1楽章からして、共感が薄いようだ。

ベームのは、エロイカのティンパニの音程。調子外れの音で不協和音になっている。1楽章がとくにひどい。これだけが残念。もしこんなことがなければ、ベストの一つだろう。

カラヤンのは70年代の、彼としては3度目のものである。60年代のはエロイカが凡演だし、80年代のは戦車が勝手に動いていて制御できていない。やはり、70年代の豪華さは気分爽快。深刻な哲学なんてないよー!ってなくらい、カッコイイベートーヴェン。けして悪い意味ではない。こんな素晴らしいかっこよさは、唯一無二だ。

さて、残ったのは、イッセルシュテット、ヨッフム、カラヤンとなった。

イッセルシュテットのは、全曲淡麗。アナログなので、いささか音質は乾いてるし、録音も古くノイズもある。でも、VPOの良いアンサンブル、合唱の見事さ、ソリストも優秀で、やはり捨てられない。ヨッフムのは、国内盤ではなくてOriginal Mastersシリーズの輸入盤で聴いて欲しい。音が生々しく、コンセルトヘボウの優秀な音が楽しめる。

さて、この上はデジタル録音にある。それが、ハイティンク/ACOである。かって、音楽評論家・宇野功芳氏に「愚鈍の極み」と言われた男、ハイティンク。

しかし、近年のベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」の超名演といい、youtubeに観る円熟の名演の数々にしびれ、「レコードなんとか大賞」をとったが「スルメのように」穏健なベートーヴェンと言われるACOとの全集も聴いたわけ。

これだけオーケストラが調和し、あらゆる音が美しくホールと共に鳴る、雄大なベートーヴェンがあったろうか。コンセルトヘボウの音は銀色に輝くような弦が美しく、ホルンも渋く夢に聴くようで、木管と金管のアンサンブルの心の通わせ方、ティンパニストの芸術的音楽性に惚れ惚れする。単なるリズムやアクセントを刻む楽器ではなく、音楽として響くのが素晴らしいのだ。

情報量も豊かで、細かい内声まで良く聴こえる。西ドイツ製の輸入盤ならより鮮度があって、生々しいサウンドが楽しめ、再発のドイツ製の箱ものなら音が円く溶けあった芳醇な響きを楽しめよう。デッカのレーベルになってからではなく、フィリップス表記でのものを選びたい。

第9のソリスト、ルチア・ポップ、ロベルト・ホル、ペーター・シュライアー、いずれも見事。合唱団も厚みあり、まずは最高だ。

長い間聴かなかったのが情けない。でも、だからこそ今、この価値がわかるのかなあ?




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